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研究例

ガラスにおけるマテリアルズインフォマティクス(MI)の
研究例

目次

マテリアルズ・インフォマティクスは、ガラス領域において素材開発の効率化と精度向上を実現しています。実験データを活用した機械学習や最適化技術を駆使し、新しいガラス組成を迅速に見出すことが可能となり、研究開発の速度を向上させました。

ガラスに期待される特性

ガラスに期待される特性イメージ ガラスに期待される特性イメージ

ガラスは建築や電子機器など幅広く使用されていますが、特性については複雑な構造を持つため理解されていない部分も多い物質です。

しかし、ガラスの原子レベルの構造を数学的に解明する研究が進展し、これまで以上に詳しくガラスの特性が明らかになってきました。この発見により、ガラスに期待される機能や性能の理解がさらに深まり、将来的な応用範囲が広がることが期待されます。

ガラスの複雑な構造とその影響

ガラスは、結晶とは異なり原子が規則的に配列されておらず、周期性を持たないため、非常に複雑な構造をしています。この無秩序な構造は「アモルファス構造」とも呼ばれ、材料特性に大きな影響を与えます。

ガラスの硬度や光学的性質、熱的特性に影響を与える中距離秩序構造の解明が、ガラスの特性をより正確に予測するために重要なのです。

トポロジーを応用した新たな記述法

従来の手法では、ガラスの原子構造の正確な記述が難しかったため、ガラスの特性について十分な理解が進んでいませんでした。しかし、東北大学の研究グループは、トポロジーを応用した「パーシステントホモロジー」という数学的手法を用いることで、ガラスに含まれる中距離秩序構造の解析に成功しました。この手法により、ガラスの原子配置に潜む「リング構造」や「空洞」などの階層的な幾何構造が明らかになり、ガラスの構造が非常に秩序立ったものであることが示されたのです。

ガラスの特性に関する新たな知見

今回の研究で解明されたガラスの階層的な構造は、硬さや耐久性に関連していることが示唆されています。ガラスが硬く、壊れにくい性質を持つのは、中距離秩序構造に由来しており、これを理解することで、ガラス材料の強度向上や加工技術の改善が期待されています。また、情報ストレージや太陽光パネルの材料として使用されるガラスの性能向上にも役立つと考えられています。

応用範囲の拡大

数学的手法の最大の特徴は、ガラスに特化せず、他の材料にも応用できる普遍性を持っていることです。ガラスの構造解析に留まらず、さまざまな素材やデータ解析に活用できるため、将来的には新たな材料の発見や、より高度な材料特性の予測に貢献することが期待されています。

専門的な領域を持つMIベンダーを選ぶ重要性

MIベンダーの中には、専門領域を持つ企業があります。各ベンダーが保有するデータの質と量は解析精度に大きく影響し、研究開発のスピード向上やコスト削減につながります。そのため専門領域で強みを持つベンダーのMIを選ぶことが重要です。

このサイトでは、専門領域を持ち、高精度な解析を実現できるMIベンダーをご紹介しています。

マテリアルズ・インフォマティクスを用いたガラスの研究例

AGCは、1907年に創業された企業で、ガラス、化学品、電子材料、セラミックスなどの事業を展開しています。

AGCでは、MIを活用し、特に高強度ガラスの組成開発において成果を上げました。独自に開発したMIツール「ARDIS」と「AMIBA」を用いることで、開発スピードが劇的に向上し、新しい材料の特性評価がこれまでの8倍速で進んでいます

高強度ガラス組成開発

AGCのガラス組成開発において独自開発したMIツール「ARDIS」と「AMIBA」は中心的な役割を果たしています。

ARDISは、研究者が日々の実験データを一元的に管理できるデータベースとして機能しており、社内データや公知データを統合するプラットフォームです。膨大なデータの整理と分析が容易になり、ガラスの組成に関する深い洞察を得ることが可能となりました。

一方、AMIBAはARDISに蓄積されたデータを基に、機械学習やベイズ最適化を活用して新しい組成の開発を効率化します。少ない実験データでも効率的に有用な組成を見出すことができ、実験の回数やコストを大幅に削減できるのです。

AMIBAのベイズ最適化機能を用いることで、スマートフォン向けカバーガラスの組成開発が成功しています。技術の活用によって、従来の手法に比べ開発期間を1年間から1.5カ月に短縮し、落下強度を25%向上できました。これは、ガラスの性能向上と開発効率の進展を示す好例です。

ARDISとAMIBAは、今後さらに進化し、自動化されたデータ収集や既存データの活用を強化する予定です。これにより、AGCの研究者はさらに多くの知見を統合し、新素材開発のスピードと精度を向上させることが期待されています。

参照元:AGC公式HP https://www.agc.com/news/detail/1202958_2148.html

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