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MIを活用し高性能かつ量産可能な新規無鉛圧電材料を半年で開発

目次

ここでは、スパークプラグ・セラミックス製品を製造している日本特殊陶業が、マテリアルズ・インフォマティクスを活用して、新規無鉛圧電材料を半年で開発した事例を紹介します。

マテリアルズ・インフォマティクス導入の背景

日本特殊陶業は2000年頃から、ニオブ酸アルカリ系無鉛圧電材料の研究開発を進めてきた歴史のある企業です。しかし、無鉛圧電材料をはじめとするセラミックス材料は、焼成や成形といった工程が最終的な性能に大きく影響するため、材料組成とプロセス条件の組み合わせが非常に複雑。実験段階から量産段階へ移行するタイミングでも複雑さが障壁となり、従来の方法では時間がかかっていました。

そのため、材料開発の効率を上げるべく、データサイエンスを活用したマテリアルズ・インフォマティクスの導入を決意したのです。

マテリアルズ・インフォマティクスを用いた開発の概要

日本特殊陶業は、マテリアルズ・インフォマティクスと電子実験ノートを活用して、社内で保有している過去と現在のデータをすべて集約しました。これにより、材料の組成とプロセス条件の組み合わせを最適化。さらにデータサイエンティストと熟練技術者が協力し合い、材料データと現場のノウハウを数値化しています。

マテリアルズ・インフォマティクスを用いた開発の結果

126万通りの組み合わせパターンを550通りに絞り込み、わずか半年という短期間で、目標性能を持つ無鉛圧電材料の開発に成功しました。新しく開発された無鉛圧電材料は、圧電定数d33=400pC/N、耐熱性はキュリー温度200℃を達成し、一般的な固相反応法による量産が可能です。また、作製工程に有機溶媒を必要としないことも大きな利点となっています。

日本特殊陶業は、この開発手法を応用して、今後無鉛圧電材料以外の材料の開発も進めていく予定です。

無鉛圧電材料開発にマテリアルズ・インフォマティクスを活用すべき理由

圧電材料は、電圧を加えると振動し、圧力をかけると電気を生み出す特性があり、ブザーやセンサー、アクチュエータなど幅広い製品に使われています。しかし、従来の圧電材料には鉛が含まれており、環境や健康への影響が心配なところ。より安全な無鉛圧電材料の開発が求められている反面、開発に時間がかかるのが課題です。

そこで活用したいのがマテリアルズ・インフォマティクス。導入すれば、材料の組み合わせやプロセス条件の組み合わせを効率的に見つけられるようになります。日本特殊陶業の事例のように、これまで時間がかかっていた開発プロセスをスピーディーに進められるでしょう。

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