マテリアルズインフォマティクス ベンダー特集
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プロセス・インフォマティクスとマテリアルズ・インフォマティクスの違い

目次

マテリアルズ・インフォマティクス(MI)とプロセス・インフォマティクス(PI)は、データ解析を活用する点では共通していますが、焦点を当てる領域が異なります。この違いにより、両者は異なる分野で活用されます。

マテリアルズ・インフォマティクスとの違い

プロセス・インフォマティクスとマテリアルインフォマティクスは、それぞれ異なる目的に基づいた技術です。プロセス・インフォマティクスは製造工程の最適化を通じて品質向上やコスト削減を図り、主に製造現場で使用されます。これに対し、マテリアルインフォマティクスは新素材の発見や特性予測に焦点を当て、研究開発における材料開発を加速させます。

両者を組み合わせることで、製造と材料開発の両面で効率化が可能です。

産総研のMI・PIへの取り組み

企業と共同でMIを開発

産業技術総合研究所(産総研)は、企業と協力して「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」に取り組み、マテリアルインフォマティクス(MI)の開発を進めています。このプロジェクトは、AIや計算科学を用いて材料開発のスピードを劇的に向上させ、従来よりも試作回数や開発期間を大幅に短縮することを目指しています。フレキシブル透明フィルムの開発では、実験回数を1/25にまで削減することに成功しました。

会員企業が利用できるデータプラットフォームを構築

産総研は、マテリアルインフォマティクスとプロセス・インフォマティクスを企業に提供するため、データプラットフォームを構築しています。

このプラットフォームは、産業界が直面する材料開発や製造プロセスの課題を解決するため、各企業が保有する膨大なデータを一元化・共有し、AIによる解析を行う場として機能しています。企業間でデータを安全に共有しつつ、知見の集積や技術の進化を促進。プラットフォームは、材料の物性情報やプロセスデータを豊富に含み、各企業が効率的にアクセスし、研究開発や製造の改善に活用可能です。

また産総研は、データの匿名化やアクセス権限の管理が徹底されており、企業同士の競争や情報漏洩のリスクを防ぎつつ、安心して利用できる環境を整えているため、複数の企業が協力して開発を進める新たなエコシステムが形成され、産業全体のイノベーションは加速していくことが期待されています。

産総研の取り組みは、材料やプロセスに関するビッグデータの有効活用を通じ、国内企業の技術競争力を向上させるための重要なインフラとして、今後さらに進化していくと考えられています。

参照元:国立研究法人新エネルギー・産業技術総合研究所(産総研) https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100119.html

MI・PIの課題

人材育成

MIやPIの導入には、人材育成が大きな課題となっています。

これらの分野は、AIやビッグデータ解析の知識と従来の材料科学や製造技術の融合が求められるため、幅広いスキルを持つ人材が必要です。特に従来の研究者や技術者に新しいデジタル技術を習得させることは急務です。このため、産総研は、教育プログラムや研修を通じて、AIリテラシーやデータ解析技術の育成に力を入れています。

具体例として従来の材料開発プロセスと、AIを駆使したデータ駆動型の研究手法をバランスよく学ぶ機会を提供し、専門家が新たな技術に対応できるように支援しています。人材が増えることで、産業全体でのMI・PIの活用が促進され、企業が競争力を強化するための基盤が整えられることが期待されています。

一方で、AIやデータ解析分野の専門家と材料研究者との間に知識やスキルのギャップがあることも課題となっています。このギャップを埋めるためには、異なる分野の専門家同士の連携を深め、互いに補完し合うチーム体制を構築することが重要です。

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