NECは、東北大学と共同でマテリアルズ・インフォマティクス(MI)とAIを活用し新材料開発に成功しました。AIが材料データを解析し、特性を予測することで、スピン流熱電変換デバイスの性能を大幅に向上させています。
NECは材料開発のため、データ駆動型のアプローチ、すなわちマテリアルズ・インフォマティクス(MI)の導入を決めました。MIは、大量の材料データを解析し、新たな材料特性を予測する技術で、従来の試行錯誤を重ねる研究開発の非効率さを解決します。しかし、MIの適用には高精度のデータが必要であり、そのデータを集めるための技術的な基盤が不足している点が大きな障壁となっていました。
そこでNECは、東北大学材料科学高等研究所と協力し、AIを活用した新たな材料開発サイクルを確立しました。このサイクルでは、異なる材料データを効率的に収集・評価する技術と、AIが材料特性を学習・予測する技術を組み合わせています。NECが開発した「異種混合学習技術」と呼ばれるAI技術が、膨大な材料データの解析を迅速かつ高精度に行うことを可能にしました。
この技術により、NECはスピン流熱電変換デバイスの開発に成功しました。スピン流熱電変換デバイスとは、廃熱を電力に変換する技術であり、今回の開発でその変換効率が100倍に向上しました。この技術は、IoTデバイスの分野で注目されています。なぜなら、電源がなくても、デバイスを何十年も動作させ続けることが可能になるからです。さらに、NECは材料データの一括生成技術も導入し、従来よりもはるかに効率的にデータを収集できるようになりました。
新たに「CoPtN」という合金材料を開発しました。この合金はAIが導いた設計指針に基づいて生成され、その性能が従来の材料を大幅に上回ることが確認されました。
参照元:NEC公式HP https://jpn.nec.com/press/201802/20180209_04.html
NECは今後も、AIを使った新材料開発の領域をさらに拡大していく計画です。今回のスピン流熱電変換デバイスの開発により、NECは材料開発におけるAI活用の有効性を実証しました。この技術は、今後さらに応用範囲が広がり、低コストで高機能な材料の発見が期待されています。
NECは、AIとMIを融合させた新たな材料開発手法を用いて、より多様な分野で革新的な材料を発見・開発することを目指しています。特に、IoT分野において、電源なしで動作し続けるデバイス技術の実現に向けた研究を進めていて、これが実用化されれば、エネルギー効率の向上や環境への負荷軽減にも大きく貢献することが期待されています。
また、NECは外部の研究機関や企業との連携を強化し、AI技術のさらなる進化に向けた取り組みを続けています。AIによる材料開発の効率化は、これまでの常識を超えるスピードで進展しており、NECはその中心的な役割を担っています。今後もAIとMIを駆使し、持続可能な社会の実現に向けて、革新的な素材開発を目指しています。
MIベンダーの中には、専門領域を持つ企業があります。各ベンダーが保有するデータの質と量は解析精度に大きく影響し、研究開発のスピード向上やコスト削減につながります。そのため専門領域で強みを持つベンダーのMIを選ぶことが重要です。
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