旭化成はマテリアルズ・インフォマティクス(MI)を導入し、従来の開発プロセスを大幅に効率化しました。その成功例として、ウイルス除去フィルター「プラノバS20N」の開発が挙げられます。
旭化成は長年、素材や化学製品の開発で優れた成果を上げてきましたが、従来の開発方法には時間とコストがかかるという課題がありました。従来の材料開発は、熟練者による経験やノウハウに頼った試行錯誤が必要で新材料を開発する際には、実験や分析を何度も繰り返す必要があります。さらに、製品の複雑化により実験データを効率的に活用することが難しく、開発プロセスが長期化する傾向にありました。
このような状況下で、旭化成は開発効率の向上とコスト削減を目指して、新しい技術の導入を模索していました。
旭化成はこの課題に対処するために、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)を導入しました。MIは、AIとデータサイエンスを活用し、材料開発に必要なデータを解析・予測する技術です。これにより、従来なら膨大な時間を要した実験や分析を効率化し、開発プロセスを加速させることが可能になりました。
MIの導入によって大きな成果の一つが、ウイルス除去フィルター「プラノバS20N」の開発です。
プラノバS20Nは、次世代セルロース膜を使用し、従来のフィルターに比べてより高いろ過効率とウイルス除去能力を実現しています。このフィルターは、生物学的製剤に対するろ過速度の向上や、オペレーションの簡便さが大きな特長です。MIを活用することで、試行錯誤の回数を大幅に減らし、適切な膜構造や性能を迅速に設計することができました。
通常の実験手法であれば、多くの材料や設計条件を検討しなければならないところを、MIの活用によりデータ解析によって有用な組み合わせを一度の実験で特定することが可能になりました。この結果、開発時間を大幅に短縮し、製品の市場投入も迅速に行うことができたのです。
参照元:旭化成公式HP https://www.asahi-kasei.com/jp/news/2024/ze240528.html
旭化成は、今後もMIや生産技術革新、IPランドスケープなどの技術を基礎としてデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していきます。
MIの導入により得られたデータ解析技術は、材料開発以外の分野にも応用される予定であり、全社的なデジタル技術の浸透を図っています。
また、旭化成グループはDXを推進するために、2024年までにデジタル人材の育成を進め、デジタル技術を活用できる社員を10倍に増やす計画を立てています。この計画に基づき、グローバルでのデータ活用量を拡大し、より効率的なビジネスモデルを構築し、企業全体の競争力をさらに高めることを目指しています。
MIベンダーの中には、専門領域を持つ企業があります。各ベンダーが保有するデータの質と量は解析精度に大きく影響し、研究開発のスピード向上やコスト削減につながります。そのため専門領域で強みを持つベンダーのMIを選ぶことが重要です。
専門領域を持っているMIベンダーを厳選しました。
自社の研究対象に近しい領域を専門としているMIベンダーの方が、
コミュニケーションにズレがなく、知見や実績も豊富な可能性があります。
化学・素材分野で数多くの開発を成功に導いた実績があります。
日立グループ全体の強みを活かして材料開発を総合的に支援できることから、早期の市場参入を可能にします。
富士通では、創薬に特化したプラットフォームを用意。特許読解、法規制物質チェックにも一貫して対応可能。
特定の材料開発プロセスではなく、創薬研究プロセス全体のDXが叶う点も魅力です。
新しいエネルギー材料の特性を正確に予測する「Mat3ra」(旧Exabyte.io)プラットフォームを提供。
新しいバッテリー材料や軽量合金の開発をスピーディーに進められることが可能です。