マテリアルズインフォマティクス(MI)の成功事例・導入事例
✓ この記事で分かること
本記事では、国内外の企業・研究機関によるマテリアルズインフォマティクス(MI)の成功事例・導入事例56件を、6つの業種・領域別に紹介します。各社が直面していた課題、MIの活用方法、得られた成果を一覧で確認し、自社の材料開発に近い課題・取り組みを探せます。
自社での活用を考える際に確認したい、次の3点をまとめています。
- 【56件の成功・導入事例】 化学・素材、自動車、電子部品など、業種・領域別の課題・活用方法・成果
- 【成功パターン】 実験・試作の削減、属人化の解消、探索範囲の拡大につながるMIの活用
- 【基礎知識】 MIの仕組み、材料開発でできること、導入を進める際の確認点
CASE STUDY
熟練者の経験からデータ駆動へ!栗本鐵工所が挑む「フィジカルAIによる混練プロセスの最適化」
ベテランの勘やノウハウに依存していた電池材料の混練条件設定を、独自生成AIとPI(プロセス・インフォマティクス)で高度化。試作・検証工数の削減と高品質スラリーの安定製造を目指す「次世代のモノづくり」の取り組みをご紹介します。
CASE STUDY
開発期間を50%以上短縮!NOFメタルコーディングスが「ブラックボックス化しないMI導入」で得た新たな解とは?
ベテランの退職による開発効率の低下を、使いやすいMIツールと手厚い伴走サポートで打破。単なるツール導入にとどまらず、盲点を突いた「新たな解」の発見や、社内のMI人財育成まで進めたDXのプロセスを公開します。
CASE STUDY
属人化からの脱却!巴川コーポレーションが実践する「失敗しないMI導入」とは?
ベテランの勘に頼る材料開発から、誰もが成果を出せるデータ駆動型プロセスへ。開発期間の短縮と若手育成を両立させた「具体的なステップ」を大公開します。
「実験回数を減らしたい」「熟練者の経験に頼る開発を見直したい」と感じたら、自社の材料・研究テーマを扱える相談先から支援内容を確認してみましょう。化学・素材、創薬、エネルギーの各領域に特徴を持つMIベンダーを紹介しています。
マテリアルズインフォマティクス(MI)とは?【2026年最新版】

マテリアルズインフォマティクス(Materials Informatics,
MI)とは、材料科学にデータ科学を取り入れ、実験データや計算・シミュレーションデータなどを活用しながら、材料の特性や挙動を予測したり、有望な候補を探索したりするアプローチです。機械学習や統計解析を使うケースも多く、材料の「組成・構造・製造条件」と「物性」の関係を、データから捉えて意思決定に役立てます。
従来の材料開発は、検証すべき組み合わせが膨大であることや、評価に手間がかかることから、試行錯誤の実験を重ねる場面が少なくありませんでした。その結果、テーマや要求水準によっては開発に長い時間とコストがかかることもあります。
マテリアルズインフォマティクス(MI)は、実験の代替というよりも、実験・計算・シミュレーションを含むさまざまなデータを整理し、モデル化と探索を組み合わせて「試す順番」と「試す範囲」を絞り込むことで、開発の効率を高めることを目指します。うまく運用できれば、実験回数の削減や探索の早期化につながる可能性があり、開発スピードやコスト面での改善が期待されています。
マテリアルズインフォマティクス(MI)でできること
物性の予測:既知の材料データから、組成・構造・製造条件と物性の関係をモデル化し、まだ測定していない条件での特性を推定します。たとえば樹脂材料の配合検討を想定すると、過去の配合・加工条件と強度・粘度の測定データを用いて、未測定の配合条件で得られる物性を予測する使い方があります。
材料候補の探索:目標とする物性から、その条件を満たす可能性がある組成や構造、製造条件を探します。たとえば、耐熱性と加工性の両立を目指す場合、過去データや計算結果から候補を絞り、実際に合成・測定する対象を選びます。
予測結果は、実験や専門家の判断に代わる確定値ではありません。データの量や質、測定条件、対象材料によって予測できる範囲は変わるため、適用範囲を確かめながら候補選定に使います。
マテリアルズインフォマティクス(MI)を活用した材料開発の流れ
材料開発でMIを使う際は、目標設定からデータ解析、候補の検証までをつなぎ、実験結果を次の探索に戻します。
- 目標と評価指標を決める:必要な物性や優先順位、原料・コスト・製造上の制約を定めます。
- データを集めて整える:実験・測定・計算データから、組成や構造、製造条件と物性値を対応づけます。単位や測定条件を確認し、比較できる形にします。
- モデルを作り、予測する:統計解析や機械学習などで、材料の条件と物性の関係を学習し、未評価の条件の物性を推定します。
- 候補を選ぶ:目標への適合度に加え、予測の不確実性や実験・製造の制約を踏まえて、次に検証する候補を決めます。
- 実験で検証し、データを更新する:候補を合成・測定し、結果をデータに加えて予測や候補の優先順位を見直します。
この循環で、MIは「次に何を試すか」を決める材料になります。実験結果が予測と異なる場合は、データや測定条件も確認して次の探索に反映します。
なぜ今、マテリアルズインフォマティクス(MI)の重要性が高まっているのか(環境規制・短納期化・技術承継)
環境要件への対応、短納期化、熟練者の知見の継承などが材料開発の課題となる中、MIは候補の選定や実験記録の活用を支援する方法の一つです。
01
環境規制
化学物質規制や環境要件の変化に応じて、既存材料の代替候補を検討する場面があります。MIは、データや計算結果を使った候補の絞り込みを支援します。
02
短納期化
顧客要求や技術の変化が速い分野では、開発初期の候補選びが後工程の手戻りに影響します。MIは、有望な条件を絞るための判断材料になります。
03
技術承継
実験条件や評価結果を記録・共有すると、熟練者の知見を次の開発で参照しやすくなります。MIの活用には、データを継続して整備する運用も必要です。
マテリアルズインフォマティクス(MI)とプロセス・インフォマティクス(PI)の違い

材料開発では、材料そのものの「組成」だけでなく、それをどう作るかという「プロセス(製造条件)」が物性に大きく影響します。したがって、組成の探索と同時に、温度、圧力、時間、混練条件、熱処理条件などの最適化が重要になるケースは少なくありません。
このとき、製造プロセスに関するデータを収集・解析し、品質や歩留まり、性能のばらつきを抑えるために条件最適化を行う取り組みは、「プロセス・インフォマティクス(PI)」などと呼ばれることもあります。ただし、用語や適用範囲は文献や現場での使われ方に揺れがあるため、本稿では「プロセスデータの活用による条件最適化」という意味で扱います。
両方が重要な理由はシンプルです。どれだけ有望な組成(マテリアルズインフォマティクス(MI)の成果)を見出しても、製造条件が適切でなければ狙った物性が得られないことがあります。逆に、製造条件をどれほど丁寧に管理しても、組成の選択が不適切であれば性能の到達点に限界が出ることがあります。
近年は、組成(材料側)とプロセス(製造側)を分けて最適化するのではなく、両者の相互作用を踏まえて統合的に設計・最適化しようとする取り組みも増えています。ただし、すべてを一気通貫で自動最適化できるというより、データ基盤の整備、評価指標の統一、現場実装の制約(設備・コスト・安全・品質規格)を踏まえながら、段階的に対象範囲を広げていく進め方が現実的です。
【独自分析】マテリアルズインフォマティクス(MI)導入に成功した企業の「共通項」と3つのパターン

企業ごとに課題や対象材料は異なりますが、実験・測定データを整え、解析結果を候補選定に使い、検証結果を次の探索に戻すことが共通する進め方です。以下では、各パターンの課題、MIの活用方法、事例で確認できる成果を整理します。
パターンA:実験・試作回数の削減(コスト・期間短縮型)
候補となる組成や条件が多いテーマでは、過去データを解析し、次に試す条件の優先順位をつけます。試作前に候補を絞ることで、実験回数や探索期間の削減を目指す活用法です。効果の程度はテーマやデータ条件によって異なります。
マテリアルズインフォマティクス(MI)の成功企業の具体例
- 積水化学では、材料設計に要していた期間を「5カ月から4時間」に短縮した事例が記載されています。
- フジクラの技術報告では、マテリアルズインフォマティクスを活用し、約30回の実験で材料技術の最適化を行ったと報告されています。
- Rescaleが公開する住友電工の導入事例では、シミュレーション時間を1週間から約半日に短縮し、新素材の開発期間を約10カ月から4〜5カ月に短縮したと紹介されています。
パターンB:熟練者の知見をデジタル化(属人化解消・若手育成型)
熟練者が持つ判断材料や実験条件、評価結果をデータとして残し、分析や次の実験計画に活用するパターンです。知見を参照・共有しやすくすることを目指しますが、記録項目の整理や現場で使う運用づくりも必要です。
マテリアルズインフォマティクス(MI)の成功企業の具体例
- 巴川コーポレーションでは、製品設計の経験が浅い若手エンジニアが「2〜3ヶ月」という短期間でMIツールを活用し、ベテランと同様の考察ができるようになったと、同社担当者が説明した事例が紹介されています。
- 日本タングステンの技術報告では、ダイスの形状寸法情報から伸線加工後の線径を予測するAIモデルを構築し、予測精度を検証したと報告されています。
パターンC:生成・シミュレーションで探索範囲を広げる(未踏領域探索型)
データベースや計算・シミュレーションも使い、既存の実験だけでは扱いにくい候補を集めて、目標特性に合う候補を絞ります。新規候補の実現性は、合成・測定などによる検証が必要です。
マテリアルズインフォマティクス(MI)の成功企業の具体例
- 栗田工業では、外部データベースに登録された数百万規模の分子情報を対象に機械学習で有望候補を絞り込み、探索範囲を拡大した内容が記載されています。
- ダイセルでは、統計数理研究所と連携して仮想高分子生成モデル「SMiPoly」を開発し、「22種類」の重合反応ルールを網羅したうえで「約1000種類の原料から17万件」の仮想高分子ライブラリを自動生成できるようにした内容が示されています。
国内外のマテリアルズインフォマティクス(MI)成功事例56選
(企業・研究機関別)

マテリアルズインフォマティクス(MI)は、実験・解析・シミュレーションで得られる材料データを学習し、候補選定や条件探索を効率化する手法です。本章では、マテリアルズインフォマティクスを実務で使える形に落とし込み、探索期間の短縮や試作回数の削減につなげた国内外の成功事例を、業界別に整理しました。
【化学・素材】主要企業のマテリアルズインフォマティクス(MI)
成功事例
トレンド:化学・素材のマテリアルズインフォマティクス(MI)では、物性予測によって試行錯誤を減らす取り組みと、代替材料の探索を効率化する取り組みが進んでいます。化学・素材領域では、無数にある化合物や添加剤の組み合わせをどう効率よく絞り込むかが共通課題です。近年は、PFASを含む化学物質規制の動向や環境要件の変化もあり、従来材の見直しや代替材料探索を進める場面でMI活用が広がっています。
編集部独自整理
化学・素材領域で見られる成功パターン
各事例ページに記載された「課題」「施策」「決定的な導入効果」をもとに、主な成果の出方で3つに整理しました。事例一覧を読む前に、化学・素材領域で見られる傾向を把握するための補助情報としてご覧ください。
期間短縮・試作削減型
試す前に候補を絞り込み、探索期間や試作回数を減らした事例
属人化解消・技術継承型
現場で使い続けられる体制づくりや、再利用しやすい運用に寄った事例
未踏領域探索型
代替材料探索、生成モデル、シミュレーション連携で探索範囲を広げた事例
※ 複数の要素にまたがる事例もありますが、ここでは主たる成果が最も読み取りやすい位置に整理しています。各社名をクリックすると、それぞれの詳細な成功事例ページへ移動します。
化学・素材のマテリアルズインフォマティクス(MI)成功事例一覧
旭化成
課題
材料探索が手作業で長期化
施策
AIで膜特性予測/最適設計
成果
試行削減/開発期間短縮
住友化学
課題
組成の組合せが100万通り
施策
ベイズ最適化で候補を絞り込み
成果
4サイクルで最適組成に到達
東レ
課題
CFRP設計が試行錯誤で長期化
施策
SOM×シミュ統合で特性を可視化
成果
設計〜評価のサイクルを短縮
JSR
課題
新素材設計が非効率で長期化
施策
大学連携でMIを内製/高度化
成果
探索の効率化と研究負荷を軽減
日本ガイシ
課題
高精度モデルと操作性の両立
施策
結晶育成AIを改良し現場適用
成果
シミュ期間を最短1日に短縮
日本ゼオン
課題
解析依頼が集中し工数が肥大化
施策
dotDataで特徴量抽出〜学習を自動化
成果
解析工数を1/100まで削減
カネカ
課題
運転管理が手動で品質がばらつく
施策
AI予測で最適設定値を制御へ反映
成果
蒸気削減/年間約100トン増産
積水化学
課題
材料探索が長期化し重複実験も発生
施策
過去データを収集・構造化しMI探索
成果
材料設計を5カ月→4時間に短縮
日東電工
課題
解析と意思決定に時間がかかる
施策
材料データ分析環境+MI研修で自走化
成果
MI適用テーマ数が約20倍に増加
デンカ
課題
実験条件が多く、現場で使える解析に落とし込みにくい
施策
現場連携でMI解析と画像計測自動化を推進
成果
開発期間を体感1〜2カ月短縮し、実務負荷も軽減
富士フイルム
課題
候補選定が経験依存で探索が非効率
施策
生成AI×MIで構造予測〜評価を自動化
成果
探索期間を年単位→数カ月へ短縮
ダイセル
課題
仮想高分子の合成設計が難しい
施策
SMiPolyで合成可能な高分子を生成
成果
約1000原料→17万件ライブラリ生成
レゾナック
課題
配合探索が膨大で試作が追いつかない
施策
DL+アニーリングで配合を最適化
成果
配合〜試作の時間を1/5に短縮
東ソー
課題
高分子設計が複雑で探索が困難
施策
OCTAでシミュ連携しMLで予測
成果
試作数を抑えつつ最適化を加速
アキレス
課題
配合条件が多く試行が重なりやすい
施策
GPR+RFで成功条件を事前選別
成果
目標物性に約3カ月で到達
三菱ケミカル
課題
知見共有と機密の壁で協業が進まない
施策
MI Bridge+秘密計算で連携基盤化
成果
機密を保ち定量議論/1年未満で到達
丸喜産業
課題
廃プラ配合・調色が熟練者依存
施策
在庫×配合データで候補案を提示
成果
時間を33%/50%短縮
三洋化成工業
課題
データ利活用が個人の工夫に留まっている
施策
短期間で小さな成功を作り、横展開する仕組み化
成果
材料開発でMIを使い続ける土台の構築
TBM
課題
従来型データ管理の限界とMI能力開発の必要性
施策
性能強化に向けた社内MI体制とデータ管理の構築
成果
製造工程の改善まで見据えた運用体制の実現
サンユレック
課題
データ活用の仕組み化と社内浸透に課題
施策
miHub導入と段階的な社内展開
成果
データ駆動型の開発体制づくりが前進
NOFメタルコーディングス
課題
開発効率の低下とMI結果のブラックボックス化
施策
使いやすいMIツールと伴走支援を導入
成果
開発期間・コストを50%以上短縮
巴川コーポレーション
課題
開発スピードと若手育成の両立
施策
MIツールと分析支援で知見をデジタル化
成果
未経験者が2〜3ヶ月で考察可能に
日本ペイント
課題
数十万件の技術資料の検索と知見活用に時間
施策
生成AI×RAGの技術情報検索「Ai-Tech」を構築
成果
技術情報の検索時間を最大20分の1に短縮
【自動車・輸送機器】主要企業のマテリアルズインフォマティクス(MI)成功事例
トレンド:自動車・輸送機器のマテリアルズインフォマティクス(MI)では、軽量化・電動化に伴う材料と設計条件の探索を、早い段階で収束させる動きが強まっています。近年は、CAEや実験データを統合して性能・耐久の見通しを立て、試作回数を抑えながら開発サイクルを短縮する用途でMIが広がっています。
編集部独自整理
自動車・輸送機器領域で見られる成功パターン
各事例ページに記載された「課題」「施策」「決定的な導入効果」をもとに、主な成果の出方で3つに整理しました。事例一覧を読む前に、自動車・輸送機器領域で見られる傾向を把握するための補助情報としてご覧ください。
試作削減・開発短縮型
候補や条件を早い段階で絞り込み、試作回数や開発期間を短縮した事例
データ統合・設計標準化型
材料データや設計知見を整理し、継続的に使える開発基盤へつなげた事例
性能予測・シミュレーション活用型
構造解析やシミュレーションを組み合わせ、性能予測の精度向上につなげた事例
※ 複数の要素にまたがる事例もありますが、ここでは主たる成果が最も読み取りやすい位置に整理しています。各社名をクリックすると、それぞれの詳細な成功事例ページへ移動します。
自動車・輸送機器のマテリアルズインフォマティクス(MI)成功事例一覧
トヨタ自動車
課題
材料探索が経験則中心で非効率
施策
社内基盤WAVEBASEを構築
成果
実験回数削減/開発期間短縮
横浜ゴム
課題
配合最適化が属人化し長期化
施策
AI解析+予測システムを実用化
成果
材料選定を数カ月→数週間へ短縮
ホンダ
課題
材料データが分散し活用しにくい
施策
GRANTA MIで一元管理+権限整備
成果
試作材料数/試験回数を約半分に
ブリヂストン
課題
ゴム配合設計が経験依存で長期化
施策
MI×構造CAEで分子レベル可視化
成果
新素材開発の期間短縮と品質向上
住友ゴム
課題
ゴム材料の内部構造と性能の関係性解明
施策
X線小角散乱データとAIを活用した材料シミュレーション
成果
タイヤ設計期間の半減・配合レシピ設計工数の大幅削減
【電子部品・電機/IT】主要企業のマテリアルズインフォマティクス(MI)成功事例
トレンド:電子部品・電機/ITのマテリアルズインフォマティクス(MI)では、少ないデータからでも当たりを付ける設計・条件出しが重視されています。近年は、画像・スペクトルなどの計測データを特徴量として取り込み、条件出しと評価の往復回数を減らす使い方でMIが定着しつつあります。
編集部独自整理
電子部品・電機/IT領域で見られる成功パターン
各事例ページに記載された「課題」「施策」「決定的な導入効果」をもとに、主な成果の出方で3つに整理しました。事例一覧を読む前に、電子部品・電機/IT領域で見られる傾向を把握するための補助情報としてご覧ください。
少データ・試行削減型
限られたデータから当たりを付け、条件出しや試行回数の削減につなげた事例
導入定着・運用化型
現場で回る形へ落とし込み、継続活用できる運用体制づくりにつなげた事例
高精度予測・候補探索型
高精度な予測や候補抽出によって、材料探索や性能評価の高速化につなげた事例
※ 複数の要素にまたがる事例もありますが、ここでは主たる成果が最も読み取りやすい位置に整理しています。各社名をクリックすると、それぞれの詳細な成功事例ページへ移動します。
電子部品・電機/ITのマテリアルズインフォマティクス(MI)成功事例一覧
NEC
課題
高精度材料データの生成・評価が難しい
施策
東北大と異種混合学習を開発
成果
変換効率を従来比100倍に向上
サムスン電子
課題
固体電解質の候補選定が長期化
施策
MITデータを解析し候補を予測
成果
開発期間を数年→約1年に短縮
村田製作所
課題
総当たり実験で試験負荷が膨大
施策
ベイズ最適化で少データ予測を実装
成果
試行数削減/社内活用が加速
パナソニック
課題
実験データが散在し探索が長期化
施策
データ統合+機械学習で候補を絞り込み
成果
探索を数年→数カ月へ短縮
デクセリアルズ
課題
MI経験者が少なく運用設計が不足
施策
4カ月スプリントで検証→正式導入
成果
2年相当のテーマで2カ月到達
【エネルギー・資源/インフラ】主要企業のマテリアルズインフォマティクス(MI)成功事例
トレンド:エネルギー・資源/インフラのマテリアルズインフォマティクス(MI)では、規制対応や安全・信頼性の要求を満たしつつ、候補探索の「範囲拡大」と「絞り込み精度」の両立が焦点です。近年は、社内データと外部データベースをつなぎ、大規模な候補群から検証の優先順位を付ける用途でMIが活用されています。
編集部独自整理
エネルギー・資源/インフラ領域で見られる成功パターン
各事例ページに記載された「課題」「施策」「決定的な導入効果」をもとに、主な成果の出方で整理しました。エネルギー・資源/インフラ領域では、規制対応や安全・信頼性を前提にしながら、候補探索の範囲拡大と絞り込み精度の両立が進んでいます。事例一覧を読む前に、このカテゴリで見られる傾向を把握するための補助情報としてご覧ください。
試行削減・開発短縮型
解析負荷や探索サイクルの重さを抑え、開発スピードや市場投入の早期化につなげた事例
探索範囲拡大・候補絞り込み型
外部データベースや機械学習を活用し、候補探索の範囲拡大と優先順位付けにつなげた事例
※ 複数の要素にまたがる事例もありますが、ここでは主たる成果が最も読み取りやすい位置に整理しています。各社名をクリックすると、それぞれの詳細な成功事例ページへ移動します。
エネルギー・資源/インフラのマテリアルズインフォマティクス(MI)成功事例一覧
ENEOS
課題
試行錯誤で解析が重く開発が長期化
施策
AI×データ解析で予測モデルを構築
成果
探索サイクル短縮/市場投入を加速
栗田工業
課題
規制対応で代替防食剤の探索が困難
施策
外部DB×機械学習で候補を絞り込み
成果
探索範囲を数百万分子規模へ拡大
トレンド:金属・材料加工/重工・機械のマテリアルズインフォマティクス(MI)では、材料そのものだけでなく加工条件と品質の関係を“再現可能にする”動きが強まっています。近年は、工程データと解析・シミュレーションを組み合わせ、歩留まり改善や立ち上げ短縮につなげる用途でMIが使われています。
金属・材料加工/重工・機械のマテリアルズインフォマティクス(MI)成功事例一覧
住友電工
課題
オンプレ計算資源が不足し処理が遅い
施策
クラウドHPCで大規模並列計算を実装
成果
1週間→約半日に短縮
日本製鉄
課題
モノマー組合せが膨大で試作が増える
施策
実験+計算データでMLモデルを構築
成果
試作対象の絞り込みで工数削減
フジクラ
課題
配合条件が数百万通りで試作が膨大
施策
ベイズ最適化+可視化で探索を効率化
成果
試作120回→約30回
ダイキン
課題
パラメータ定義が難しくモデルが効きにくい
施策
知見×実験データでMI環境を強化
成果
検証スピード向上/技術継承を加速
日本タングステン
課題
線径検査がボトルネックで立上げが遅い
施策
Pythonで回帰モデルを構築し手順を標準化
成果
37/40試料で±2%以内
三菱重工業
課題
材料のばらつき管理と破壊試験等の負荷
施策
強度特性やクリープ寿命評価へのMI適用
成果
過去データからの迅速な予測と試験負荷の抑制
古河電気工業
課題
バラバラなExcelデータの整備負担と解析の属人化
施策
伴走支援によるモデル開発と再利用できる「型」の構築
成果
試作回数削減と、継続して回せるMI運用体制の実現
栗本鐵工所
課題
混練条件の設定が熟練者の経験に依存
施策
フィジカルAIとPIで混練プロセスを最適化
成果
試作・検証工数削減と高品質スラリー製造へ
【研究機関・スタートアップ/ベンダー】主要企業のマテリアルズインフォマティクス(MI)成功事例
トレンド:研究機関・スタートアップ/ベンダー領域のマテリアルズインフォマティクス(MI)では、手法の実装と現場で使える形への落とし込みが進んでいます。近年は、共同研究で得た高品質データやモデルを基に、探索・予測・解釈をワークフローとして提供し、現場適用を早める取り組みが増えています。
編集部独自整理
研究機関・スタートアップ/ベンダー領域で見られる成功パターン
各事例ページに記載された「課題」「施策」「決定的な導入効果」をもとに、主な成果の出方で3つに整理しました。研究機関・スタートアップ/ベンダー領域では、予測・探索の高度化だけでなく、現場で使える形への落とし込みや、先端計算手法の実装も進んでいます。事例一覧を読む前に、このカテゴリで見られる傾向を把握するための補助情報としてご覧ください。
予測・候補探索型
計算・機械学習を用いて候補抽出や物性予測を進め、探索効率の向上につなげた事例
実装支援・ワークフロー型
探索・予測・解釈を業務に組み込み、現場で使える運用や支援体制づくりにつなげた事例
先端計算・高度解析型
量子計算や第一原理計算、分子シミュレーションなどを活用し、未踏領域の検討を進めた事例
※ 複数の要素にまたがる事例もありますが、ここでは主たる成果が最も読み取りやすい位置に整理しています。各社名をクリックすると、それぞれの詳細な成功事例ページへ移動します。
研究機関・スタートアップ/ベンダーのマテリアルズインフォマティクス(MI)成功事例一覧
京都大学
課題
新規物質探索が長期・高コスト
施策
第一原理×MLで物質をランキング化
成果
ICSD約5.5万物質を仮想探索
アイクリスタル
課題
組成探索が膨大で実験が追いつかない
施策
過去データでML予測+シミュ併用
成果
試作サイクル短縮/コスト低減
東北大学
課題
表面実測が難しく設計初期の判断が遅い
施策
2200件DB×NNで特性を推定
成果
バンドアライメントを高速推定
東京理科大学
課題
データ増で設計指針化が難しい
施策
結晶DB×深層学習で候補を予測
成果
約2万件から有望候補を抽出
Quemix
課題
高精度計算が重く高速化が課題
施策
量子コンピュータ×スパコンで計算
成果
欠陥物性を高精度に算出
早稲田大学
課題
少数データでは未知領域の予測精度が出にくい
施策
量子回路学習で高エントロピー合金の硬さを予測
成果
約100件のデータでも高い予測性能を確認
Polymerize
課題
異なる単位によるデータ不整合や不足など「データ整備」の壁
施策
データの整理・補完から、順解析・逆解析モデル構築までを一貫実施
成果
高精度な特性予測の実現と、開発サイクルの大幅短縮(従来の1/3)
NTTデータ
課題
次世代計算技術の実務適用における定式化やマシン選定の難しさ
施策
適用精査から定式化、実機検証までを一貫支援するラボサービスの提供
成果
実証で終わらせず、業務実装・運用への移行を容易にする支援体系の確立
芝浦工業大学
課題
巨大誘電率材料の探索における膨大な候補空間
施策
第一原理計算と機械学習を組み合わせた特性予測
成果
計算・データ解析による候補の効率的な絞り込み
東京科学大学
課題
高分子材料設計におけるデータ不足と計算コスト、自動化の難しさ
施策
RadonPyとSPACIERを活用し、分子シミュレーションと機械学習を統合
成果
光学用高分子の候補探索を高度化し、経験的限界線を超える材料設計と合成に成功
スペースシードホールディングス
課題
AI候補と自社設備で製造できる範囲にギャップ
施策
製造装置の制約を組み込んだ合金MI探索システムを構築
成果
複数材料系で探索から有望候補出力までの動作を確認
さくらインターネット
課題
実験手順や研究データが分散・属人化し、検索・再利用が難しい
施策
結晶構造の予測手法とMatPROV・eurecoによる研究データ構造化
成果
論文採択とeurecoのオープンβ版提供開始
フィックスターズと大阪大学
課題
量子化学用量子回路シミュレーションの大規模化
施策
chemqulacs-gpuへのIQPE実装とGPU並列計算の最適化
成果
最大1,024台のNVIDIA H100 GPUで大規模計算を実証
マテリアルズインフォマティクス(MI)導入で失敗しないための「3つの壁」とその乗り越え方
マテリアルズインフォマティクス(MI)は魔法の杖ではありません。導入企業の多くが直面する「3つの壁」をあらかじめ理解し、
対策を講じることが成功の絶対条件です。
直面する課題
材料開発の現場では、数千・数万といった大量のデータが揃っていることは稀です(小データ問題)。また、過去の実験ノートが紙ベースだったり、成功データのみが記録され「失敗データ」が捨てられていたりすることも、解析の精度を著しく下げます。
乗り越え方
「少ないデータでも解析可能なアルゴリズム(ベイズ最適化など)」を選択すると同時に、「負(失敗)のデータ」を資産として再定義し、データベース化することが重要です。また、シミュレーション(計算科学)で仮想的なデータを生成し、実験データを補完する「ハイブリッド手法」も有効です。
直面する課題
データサイエンティストは材料の物理的意味を理解せず、実験者はAIのアルゴリズムをブラックボックスとして敬遠する。この「共通言語の欠如」がプロジェクトを停滞させます。
乗り越え方
理想は「データがわかる材料研究者(シチズン・データサイエンティスト)」の育成です。まずは、解析結果とベテランの勘が「一致する」ことを証明する「確かめ算」から始め、AIを「ライバル」ではなく「高度な分身」として信頼してもらうプロセスが不可欠です。
直面する課題
「何でもできる汎用的なAIプラットフォーム」は、自由度が高い反面、初期設定や専門知識のハードルが非常に高くなります。一方で、特定領域に特化しすぎたツールは、研究の広がりを制限する可能性があります。
乗り越え方
まずは「特定の課題(例:ポリマーの物性予測)」に強い領域特化型ツールでスモールスタートし、成功体験を積むのが定石です。その際、将来的に自社の基幹システムや他部署のデータと連携できる「拡張性」があるかを確認してください。
まとめ:10年後の材料開発を今、始めるために
まずは「スモールスタート」から。各企業の成功事例に学ぶ
マテリアルズインフォマティクス(MI)導入の鉄則
マテリアルズインフォマティクス(MI)は、決して大企業や一部のデータサイエンティストだけのものではありません。導入を成功させる最大の秘訣は、最初から完璧なデータや大規模なシステムを求めず、「小さく始めて、素早く成功体験を積む(スモールスタート)」ことです。
例えば、この記事でも紹介したデクセリアルズ株式会社では、少人数の推進チームで
マテリアルズインフォマティクス(MI)の実装をスタートしました。プログラミング不要のツールを導入してPoC(概念実証)環境を素早く構築し、身近な課題から検証を進めた結果、過去に約2年を要した開発テーマをわずか2ヶ月で完了させるという劇的な期間短縮を実現しています。さらに、データの中から熟練者も気づかなかった新たな知見を見出すことにも成功しました。
成功事例を自社の開発に生かすには、まず「実験データを整理して活用したい」「配合候補が多く、次に試す条件を絞りたい」「予測結果を次の実験に生かしたい」など、現在の課題を具体的にしましょう。相談先を選ぶ際は、自社の材料・研究テーマに対応できるか、データ整備・解析・実験計画など、必要な支援を受けられるかを確認することが大切です。以下では、化学・素材、創薬、エネルギーの各領域に特徴を持つMIベンダーを紹介します。自社に近い領域の企業から支援内容を確認し、以下の3選から、自社の研究領域に合う企業の支援内容を確認してみてください。