マテリアルズインフォマティクス ベンダー特集

横浜ゴムのMIの成功事例

目次

横浜ゴムは次世代タイヤ開発の課題に対しマテリアルズ・インフォマティクス(MI)を導入しました。この技術により、AIを活用して膨大な材料データを解析し、ゴム材料の開発プロセスを効率化。開発期間の短縮やコスト削減を実現し、製品の性能向上を図っています。

横浜ゴムが抱えていた課題

横浜ゴムは、タイヤ開発において常に技術革新を追求してきましたが、次世代のゴム材料開発において、効率的で精度の高い開発手法の必要性に直面していました。従来の方法では、多くの時間とリソースがかかるうえ、技術者の経験が重要な要素となっていたため、開発のスピードやコストが課題となっていました。新素材の開発を加速させ、より高性能なタイヤを効率的に生産するための新たな手法が必要とされていたのです。

タイヤの性能向上を図るためには、ゴムの配合や特性の最適化が重要ですが、このプロセスには多くの試行錯誤が伴います。これまでの開発方法では、膨大なデータと時間を要し全体の開発スピードが遅れる原因となっていました。このような課題に対し、横浜ゴムは新しいテクノロジーの導入を模索することとなりました。

MI導入で出した成果

横浜ゴムは2017年にMIを活用したゴム材料開発技術を確立し、高性能なタイヤの開発に成功しました。

従来数ヶ月かかっていた材料選定のプロセスが大幅に短縮され、より短期間で高品質な製品を開発できるようになりました。さらに性能の予測精度が向上し、実際のテストを繰り返す必要が減り、開発コストの削減にもつながりました。さらに、技術者が未経験の分野でも、AIのサポートにより短期間で成果を上げることが可能になっています。

参照元:横浜ゴム公式HP https://www.y-yokohama.com/release/?id=2896&lang=jp

今後の展望

MIによる成果に加え、横浜ゴムはAIの活用をさらに推進するために「HAICoLab(Humans and AI collaborate for digital innovation)」という新たな構想を打ち出しました。HAICoLabは、人間とAIが協力し、デジタル技術を活用して製品やサービスを革新することを目指しています。この構想に基づき、横浜ゴムはAIと人間の共同作業を活かして、新しいタイヤやゴム製品の開発に取り組んでいます。

AIを活用した配合物性値予測システムは、2020年12月に実用化され、ゴムの配合設計プロセスに革新をもたらしました。人間が設定した配合設計パラメーターをAIが解析し、適切な物性値を予測することで、膨大な仮想実験が可能となり、開発のスピードアップとコスト削減を実現。AIが予測したデータを人間が判断し、次の開発ステップを進めることで、両者の強みを最大限に活かす新しい開発体制が構築されています。

HAICoLabは、タイヤだけでなく、ホースやコンベヤベルトなどの多岐にわたるゴム製品開発にも活用されており、今後さらに多様な分野での展開が期待されています。横浜ゴムはこの構想をもとに、未来の技術開発に積極的に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献していく方針です。

専門的な領域を持つMIベンダーを選ぶ重要性

MIベンダーの中には、専門領域を持つ企業があります。各ベンダーが保有するデータの質と量は解析精度に大きく影響し、研究開発のスピード向上やコスト削減につながります。そのため専門領域で強みを持つベンダーのMIを選ぶことが重要です。

SELECTIONS
専門的な領域に強みを持つ
マテリアルズインフォマティクスの
ベンダー3選

専門領域を持っているMIベンダーを厳選しました。
自社の研究対象に近しい領域を専門としているMIベンダーの方が、
コミュニケーションにズレがなく、知見や実績も豊富な可能性があります。

化学・素材メーカーのアイコン
有機・無機化合物の
新素材・製品開発を行う
化学・素材メーカーの相談先
日立ハイテク
「化学・素材」領域に強い理由

化学・素材分野で数多くの開発を成功に導いた実績があります。

日立グループ全体の強みを活かして材料開発を総合的に支援できることから、早期の市場参入を可能にします。

製薬会社のアイコン
新薬候補の特定、
毒性予測など研究を行う
製薬会社の相談先
富士通
「創薬」領域に強い理由

富士通では、創薬に特化したプラットフォームを用意。特許読解、法規制物質チェックにも一貫して対応可能。

特定の材料開発プロセスではなく、創薬研究プロセス全体のDXが叶う点も魅力です。

エネルギー企業のアイコン
新エネルギー材料の
発見に注力する
エネルギー企業の相談先
伊藤忠テクノソリューションズ
「エネルギー」領域に強い理由

新しいエネルギー材料の特性を正確に予測する「Mat3ra」(旧Exabyte.io)プラットフォームを提供。

新しいバッテリー材料や軽量合金の開発をスピーディーに進められることが可能です。