規制や環境負荷への視線が強まるほど、材料開発は「急いで置き換えたいのに、候補を試し切れない」という壁にぶつかります。冷却水系の銅用防食剤も同じで、代替探索を前に進めるには、膨大な候補の中から試験に回す価値が高い材料を早い段階で見分ける仕組みが欠かせません。栗田工業はこの工程にマテリアルズインフォマティクス(MI)を組み込み、社内データの学習と外部データベース探索をつないで、候補選定の進め方を変えました。この記事では、栗田工業のマテリアルズインフォマティクス導入が何を解決し、どんな成果につながったのかを解説します。
1分でわかる要約
銅用防食剤の代替探索では候補が膨大になりやすく、試験に回す価値が高い材料を早い段階で見分ける仕組みが欠かせません。
栗田工業はマテリアルズインフォマティクス(MI)を組み込み、社内データの学習と外部データベース探索をつないで候補選定の進め方を変えました。外部データベースの数百万規模の分子情報を対象に、機械学習で有望候補を絞り込み、探索範囲を数百万分子規模へ広げています。
今後は、条件が変わっても使えるMIへ広げることに加え、防食率だけでなく孔食など腐食形態まで扱えるMI技術へ拡張することが論点です。
専門的な領域を持つMIベンダーを選ぶ重要性
MIは、学習データの整備や特徴量設計、モデル構築、検証の回し方まで一連で噛み合わせることで効果が出やすくなります。支援内容や得意領域はベンダーによって異なるため、自社テーマに近い領域での実績やデータ活用の設計力、現場で運用を回す支援の範囲を基準に比較すると選びやすくなります。
次のセクションでは、候補を絞り込みたい方向けに「専門的な領域に強いMIベンダー3選」をご紹介します。
栗田工業が扱う冷却水系の銅用防食剤の領域では、リンや亜鉛、窒素系化合物が一般的に使われてきました。一方で、これらの物質は環境リスクが懸念され、欧州各国で使用規制を強化する動きがあります。栗田工業はこうした外部環境の変化を踏まえ、代替品となる環境負荷の低い銅用防食剤を早い段階で見つけ、開発を前に進める必要がありました。
栗田工業はマテリアルズインフォマティクス(MI)の導入によって、探索の入口を広げながら、実験で確かめる候補を絞れる状態を作りました。具体的には、外部データベースに登録された数百万規模の分子情報を対象に機械学習で有望候補を絞り込み、人手中心では数百分子規模にとどまりがちだった探索範囲を数百万分子規模へ広げています。これにより、候補を並べ続ける作業に追われやすい状況から、検証の設計と結果の読み解きへ時間を振り向けやすい流れへ切り替わります。
参照元:クリタグループ(ニュース)(https://news.kurita-water.com/press240207)
栗田工業が次に見据えるのは、条件が変わっても使えるMIへ広げることです。探索・検証対象を増やして学習データを拡張し、異なる水質条件でも試験することで、実験条件にも汎用性を持たせたモデルを構築し、さまざまな素材や水質条件で一次スクリーニングができる状態を目指します。あわせて、現状のモデルが防食率の予測に焦点を当てていることを踏まえ、孔食など腐食形態まで扱えるMI技術へ拡張する方向も示されています。
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