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成功事例

東京理科大学のマテリアルズインフォマティクス(MI)の
成功事例

目次

東京理科大学先進工学部マテリアル創成工学科は、物理・化学・力学を基盤に材料工学を横断的に学べる学科です。「新素材デザイン」や「環境・エネルギー」に加え、データサイエンスやAIを活用したエネルギー利用も研究フィールドとして掲げており、マテリアルズインフォマティクス(MI)に関心がある方にとっても注目しやすい環境と言えます。本記事では、同学科の特徴と、公開情報から読み取れるマテリアルズインフォマティクス関連の取り組みを整理します。

東京理科大学がマテリアルズインフォマティクスに取り組む背景

東京理科大学マテリアル創成工学科は、物理・化学・力学をベースに、材料工学に関する教育と研究を横断的に行う学科として位置付けられています。学科紹介では、物理系・化学系・機械系・電子系が交わる学際的なフィールドの上に、「新素材デザイン」「新機能デザイン」「環境・エネルギー」「航空・宇宙」という四つの方向で研究を展開することが示されています。また、金属・無機・有機といった従来の縦割りにとらわれず、さまざまな材料を一体的な学問体系の中で扱う点が特徴とされています。

こうした構成の学科では、扱う材料や現象が多岐にわたり、実験データやシミュレーション結果も多様になります。学科の紹介には、「発電できる化学素材」「蓄電池の進化」「データサイエンスやAIを活用した効率的なエネルギーの利活用」などのキーワードが並んでおり、材料そのものだけでなくエネルギー利用や情報処理まで視野に入れた研究フィールドが想定されていることが分かります。そのため、材料の種類やプロセス条件、評価指標が増えやすく、どのデータがどのテーマに紐づいているのかを整理する視点が重要になります。

カリキュラムを見ると、「マテリアル工学実験0〜4」のように1年次から3年次にかけて段階的に実験に取り組む科目が複数配置されています。また、「マテリアル計算科学」など計算やシミュレーションに関わる科目に加え、「デザイン思考入門」「デザイン思考基礎」といった学際系科目も設けられています。実験・計算・設計思考を組み合わせる構成になっており、材料の機能だけでなく、その活かし方や価値の捉え方まで含めて考える素地が用意されています。

マテリアルズインフォマティクスは、実験・理論・計算で得られた材料データと、機械学習などのデータ科学を組み合わせて新しい材料やプロセス条件を探索するアプローチです。JST「先進的マテリアルズインフォマティクス」研究領域では、実験科学・理論科学・計算科学・データ科学の連携を通じて新物質・材料設計に挑むことが目的として掲げられています。こうした潮流と、東京理科大学マテリアル創成工学科のカリキュラム構成を重ねて見ると、材料データの整理と活用をどのように進めるかが、自然と重要な検討テーマになっていることがうかがえます。

MI導入で出した成果

東京理科大学におけるマテリアルズインフォマティクスの取り組みは、具体的な研究成果としても表れています。いずれの事例も、材料の構造や物性をデータに基づいてとらえ直し、新しい設計指針につなげようとする点に特徴があります。

一つの例として、マテリアル創成工学科の小嗣真人教授らのグループによる薄膜生成時の枝分かれ現象の解明が挙げられます。この研究では、薄膜結晶の電気的特性に影響する樹枝状構造の枝分かれメカニズムについて、トポロジーと物理、機械学習(AI)解析を組み合わせて検討しています。Beyond 5Gを見据えた高品質な薄膜結晶の作製プロセスにつながる成果として紹介されており、データ解析と物性理解が一体となったマテリアルズインフォマティクス的なアプローチの一例となっています。

また、「データ駆動型アプローチで探る単分子磁石の設計指針」というテーマでは、単分子磁石の設計に関する成果が公表されています。この研究では、結晶構造データベースから金属サレン錯体を抽出し、深層学習モデルを用いて分子構造のみから単分子磁石特性の有無を予測しています。約2万件規模の分子構造データを対象に有望な候補を探索しており、複雑な分子系に対してもデータ駆動型の材料設計が有効であることを示す事例になっています。

これらの公表事例を合わせて見ると、東京理科大学では、マテリアル創成工学科を含む研究体制の中で、マテリアルズインフォマティクスや機械学習を用いた材料研究がニュースや研究紹介として継続的に発信されています。学科紹介に示されている「データサイエンスやAIを活用した効率的なエネルギーの利活用」というキーワードとも整合しており、材料データを生かした研究スタイルが、個別プロジェクトのレベルで具体化してきていることが分かります。

参照元:東京理科大学 マテリアル創成工学科 研究室紹介(https://www.rs.tus.ac.jp/am/laboratory.html)

参照元:東京理科大学 「データ駆動型アプローチで探る単分子磁石の設計指針」(https://www.tus.ac.jp/today/archive/20240219_0910.html)

参照元:東京理科大学 「薄膜生成時の枝分かれ現象を、トポロジー・物理・AIの融合で解明」(https://www.tus.ac.jp/today/archive/20250320_5263.html)

参照元:東京理科大学 先進工学部マテリアル創成工学科(https://www.tus.ac.jp/academics/faculty/industrialscience_technology/materials/)

参照元:東京理科大学 マテリアル創成工学科 カリキュラム(https://www.rs.tus.ac.jp/am/curriculum.html)

今後の展望

マテリアルズインフォマティクスを支える研究基盤は、日本全体でも整えられてきました。科学技術振興機構(JST)の「先進的マテリアルズインフォマティクス」研究領域では、実験・理論・計算・データ科学を連携させて新物質・材料設計に挑むことが目的として掲げられています。また、物質・材料研究機構(NIMS)の情報統合型物質・材料開発イニシアティブ(MI2I)では、機械学習や統計的手法を用いて電池材料や磁石材料などを対象としたデータ駆動型研究が進められてきました。

東京理科大学は、こうした国内の動きと並行して、文部科学省の「数理・データサイエンス・AI教育プログラム(応用基礎レベル)」の認定を受けたデータサイエンス教育プログラムを実施しています。「データサイエンス・AI概論」や「データサイエンス・AI応用基礎」などの科目を通じて、各分野でデータやAIを活用するための基礎力を身につけることを目指しており、材料系の研究でマテリアルズインフォマティクスに取り組みたい学生にとっても、学びの土台となる環境が整えられています。マテリアル創成工学科で紹介されているMI関連の研究事例とあわせて、今後も教育・研究・産学連携の場でデータ駆動型の材料研究が広がっていくことが期待されます。

参照元:JST 先進的マテリアルズインフォマティクス研究領域(https://www.jst.go.jp/kisoken/presto/research_area/ongoing/bunyah27-4.html)

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