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丸喜産業のマテリアルズインフォマティクス(MI)の成功
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廃プラスチックから狙いどおりの性能と色味をもつ再生プラスチックを安定してつくることは、原料のばらつきが大きく、決して単純な仕事ではありません。丸喜産業はこの課題に対し、NECとともにマテリアルズインフォマティクスを導入し、配合と調色をデータで支える取り組みを進めています。再生プラスチックの利用拡大が求められる中で、品質と効率の両方を整えるための一歩となりました。この記事では、その背景と具体的な取り組みの内容、そして今後の展望を紹介します。

丸喜産業が抱えていた課題

丸喜産業は、1970年の設立当初からプラスチック原料の販売とマテリアルリサイクルに取り組み、メーカーから出る端材を回収・選別し、粉砕・配合・調色・造粒という工程を経てペレットとして出荷してきました。廃プラスチックはロットごとに組成や物性、色の出方が異なり、求められる性能や外観を満たす配合を考えるには、在庫の状態も考慮しながら細かな判断が必要になります。そのため、配合と調色の工程は、長年現場にいる熟練担当者の経験と勘に支えられてきました。

小薗社長は「配合や調色は経験と勘に頼るところが大きく、生産効率性に課題を感じていた」と語っています。過去には別ベンダーとMI活用に挑戦したものの、議論のかみ合わせが難しく、途中で断念した経緯があります。この経験から、素材そのものに詳しいパートナーと協業したいというニーズが強まり、2021年に設立されたバイオプラスチック関連コンソーシアムでNECと出会ったことをきっかけに、共同研究が始まりました。そして2024年からは、本格協業として配合・調色プロセスの変革に取り組む体制が整えられています。丸喜産業とNECは、配合・調色の負担を減らしつつ、再生プラスチックの活用を広げていきたいという方向性を共有しています。

MI導入で出した成果

丸喜産業とNECが共同で構築した配合・調色支援システムは、マテリアルズインフォマティクスを活用して再生プラスチック製造を効率化する仕組みです。目標とするプラスチックの物性値と色味を数値として入力すると、長年蓄積してきた配合データと、日々変動する廃プラスチック在庫の情報をもとに、実現可能性の高い配合案と顔料の組み合わせを複数提示します。担当者はこれらの候補を起点に試作や微調整を行い、最終的な配合を決めていきます。

2024年9月に行われた実証実験では、このシステムを用いることで、廃プラスチックの配合検討・決定と、調色用の顔料の検討・試作・決定にかかる時間が、熟練作業者で約33%、経験の浅い担当者で約50%短縮されたと報告されています。また、NECのリリースによれば、システムが提示した配合案・調色案は「実用に十分な精度」であることも確認されています。さらに、丸喜産業とNECの発表やインタビューでは、全在庫データを参照して候補を出すことにより、これまであまり使われてこなかった廃プラスチックの有効利用や、配合・調色工程でのロス低減にもつながると説明されています。数値として示された時間短縮の成果に加え、在庫活用や属人化の緩和に向けた手ごたえも得られた取り組みと言えます。

参照元:NEC Wisdom公式サイト(https://wisdom.nec.com/ja/feature/dxmanagement/2025020701/index.html)

今後の展望

丸喜産業とNECは、この成果を自社だけの取り組みにとどめず、プラスチックリサイクル企業全体に広げていく構想を示しています。両社は、2025年を目標に、マテリアルズインフォマティクスを活用したコンサルティングを起点としたソリューションを、再生プラスチック製造に携わる企業へ提供していく方針を公表しています。将来的には、複数の再生材メーカーが配合や物性などのデータを持ち寄り、共有できる基盤を整えることで、MIの精度向上と業界全体のDXを進めていくことを目指しています。

あわせて、素材の由来や再生プロセスに関する情報を整理し、一部を開示していくことで、再生プラスチックのトレーサビリティや信頼性を高めたいという考えも示されています。ユーザー企業が再生材を選びやすくなれば、利用の場面が広がり、循環型社会への貢献にもつながります。丸喜産業とNECのコメントからは、こうした情報開示とデータ活用を両輪にしながら、再生プラスチックの価値を高めていこうとする姿勢が伝わってきます。

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