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芝浦工業大学のマテリアルズインフォマティクス(MI)活用による成功事例

目次

高性能な電子部品を支える材料開発では、「候補が多すぎて実験だけでは探しきれない」という課題がつきまといます。芝浦工業大学の研究では、第一原理計算と機械学習を組み合わせたマテリアルズインフォマティクス(MI)により、巨大誘電率材料の探索から合成までを一気通貫で進め、積層セラミックスコンデンサ(MLCC)の新材料開発につながる成果を示しました。MI導入を検討する企業にも応用しやすい考え方として整理します。

1分でわかる要約

POINT 1

芝浦工業大学の研究では、結晶構造データベースと第一原理計算(フォノン計算)を基盤に、機械学習などを活用したMIで巨大誘電率候補材料を導出し、さらに非平衡プロセスを用いて合成まで進める探索スキームを構築しました。「探索→候補抽出→合成」をつなげた点が特徴です。

POINT 2

テストとしてICSDに登録されたペロブスカイト型化合物61材料を網羅計算し、階層型クラスタリングでBaTiO3と類似するフォノン分散を持つ材料を分類できることを確認。その上で、仮想材料も含む525種類へ拡張し、RbNbO3など複数の候補材料を導出しました。

POINT 3

候補材料のうちペロブスカイト型RbNbO3は、高圧合成により合成に成功し、単結晶で室温1000~800程度の巨大誘電率を確認しました。欠陥低減によりさらに高い誘電率の可能性にも言及されており、MIが「未踏の材料空間(準安定相を含む)」の探索範囲拡大に寄与することを示しています。

専門的な領域を持つMIベンダーを選ぶ重要性

MIは、探索したい物性に応じて「どんな計算・特徴量・学習手法を使うか」が変わります。今回のように第一原理計算(フォノン)と機械学習、さらに合成プロセスまで視野に入れる場合は、材料領域の知見とデータ設計力を持つパートナー選定が成果を左右します。

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芝浦工業大学が抱えていた課題

MLCCの誘電体材料として広く使われてきたBaTiO3は、室温付近で約4000という巨大な誘電率を持ちます。一方、発見から長い年月が経つ中で、従来の網羅的な合成実験(通常プロセス)だけでは、BaTiO3を凌駕する材料が見つかりにくい状況が続いていました。研究では、その要因の一つとして、通常プロセスでは探索範囲が平衡状態の安定相に限られ、準安定な材料などを十分に探索できていなかった可能性を挙げています。

企業の材料開発でも同様に、「有望そうだが合成・安定化が難しい候補」が実験だけでは取りこぼされがちです。そこで、計算とデータ解析で広大な材料空間を先に絞り込み、合成検討の優先順位を付けるMIの考え方が効いてきます。

MI導入で出した成果

本研究では、結晶構造データベースから第一原理計算で計算データベースを作り、機械学習などを活用したMIで巨大誘電率候補を導出するスキームを開発しました。ICSD登録の61材料で手法の妥当性を確認した上で、仮想材料も含む525種類へ拡張し、RbNbO3など複数の候補材料を見出しています。「探索範囲を一気に広げ、候補を絞り込む」というMIの強みが、具体的な探索手順として示された形です。

さらに、導出した候補に対して非平衡プロセス(高圧合成)で合成検討を行い、ペロブスカイト型RbNbO3の合成に成功。単結晶で室温1000~800程度の巨大誘電率を確認しました。材料内部の欠陥が誘電特性を低下させる可能性にも触れられており、欠陥低減が進めば、より高い誘電率の可能性があるとしています。MIの結果を「実験で確かめ、改善につなげる」流れまで含めて成果が提示されています。

今後の展望

研究では、RbNbO3の真の誘電率を決定するために、サンプル高品質化(欠陥低減)に取り組む方針が示されています。欠陥低減が進めば、BaTiO3を凌駕する新しいMLCC材料開発につながる可能性がある、という示唆も得られました。また、本研究で用いたMIは、リチウムイオン電池や触媒など他領域でも材料探索手法として注目されており、準安定相を含めた探索範囲拡大に寄与するとしています。

企業がMI導入を検討する際は、今回のように「探索で何を指標にするか(例:誘電率に関係する計算特徴量)」を先に定義し、計算・データ・合成検討の役割分担を設計することが近道です。候補抽出の精度合成・評価の再現性をセットで改善していくことで、MIが現場の開発スピードに直結しやすくなります。

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