日本ペイントグループは、生成AIとRAGを活用した技術情報検索システム「Ai-Tech」を構築し、長年蓄積してきた技術資料を研究開発や顧客対応に活かす取り組みを進めています。
日本ペイントグループの取り組みは、AIで材料候補を直接予測するものではありません。マテリアルズインフォマティクス(MI)を含む研究開発の情報活用を支える検索・活用基盤として位置づけられます。
日本ペイントグループでは、長年にわたって蓄積された数十万件の技術資料を、従来のキーワード検索システム「i-Tech」に集約していました。一方で、必要な情報を見つけるには検索条件を細かく設定し、得られた情報を整理する必要があり、調査に時間がかかる場面もありました。
塗料に関する技術知見は、工業用塗料や自動車用塗料、表面処理剤、船舶用塗料など、多様な領域にまたがります。過去の実験結果やトラブル対応の経緯を確認する際、担当者の経験や詳しい社員への問い合わせに頼らざるを得ないことも、知見の活用を難しくする要因でした。
マテリアルズインフォマティクス(MI)を含む材料開発では、配合や製造条件、評価結果といった過去の情報が次の仮説づくりに直結します。こうした知見を個人にとどめず、必要な人が必要な時に使える状態へ整えることが求められていました。
マテリアルズインフォマティクス(MI)の導入支援企業を比較する
日本ペイントグループは、グループ専用の生成AIツール「NP ASSISTANT」を展開しています。その中で技術部門向けに開発されたのが、RAG型の技術情報検索システム「Ai-Tech」です。
Ai-Techでは、質問内容に応じて社内の技術資料を検索し、関連情報をまとめて提示します。研究者や技術者が必要な知見へ到達しやすくなることで、過去の技術資料を次の検討に活かしやすくなります。
生成AIを研究開発で活かすには、ツールを導入するだけでは十分ではありません。古い技術文書の文字起こしや、表・グラフをAIが読み取りやすいデータへ整える作業を進め、蓄積情報を検索・参照しやすい形にすることが重要です。
マテリアルズインフォマティクス(MI)と生成AIの関係を見る
Ai-Techの導入により、技術情報の検索と情報集約にかかる時間は短縮されました。日本ペイントホールディングスは、従来の技術情報検索時間を最大20分の1に短縮したと案内しています。
過去の技術資料や顧客対応の経緯を探しやすくなったことで、詳しい担当者を探して個別に確認する負担も抑えやすくなっています。新たに担当になった社員や若手研究者にとっても、過去の対応や検討内容を踏まえて業務を進めやすくなり、技術伝承や人材育成の面での活用が期待されます。
日本ペイントグループは、技術情報の検索にとどまらず、実験結果や配合、原料情報などを扱うAI活用も進めています。マテリアルズインフォマティクス(MI)を活用するための情報基盤を整え、必要な知見へ素早く到達できる環境をつくることが、この事例の特徴です。
日本ペイントの取り組みから分かるのは、マテリアルズインフォマティクス(MI)や生成AIの活用では、AIツールを導入するだけでは十分ではないということです。技術資料を整備し、専門領域に合わせて検索精度を高め、現場のフィードバックを反映していく。この積み重ねが、属人化しやすい研究開発の知見を組織の力へ変えていきます。
参考:日本ペイントホールディングス「モノづくり専門メディアMONOistに生成AIを活用した技術情報検索システムに関する記事が掲載されました」(https://www.nipponpaint-holdings.com/news_release/media_260423_1/)
参考:日本ペイントホールディングス「取り組み:MSV実現に向けた人材開発」(https://www.nipponpaint-holdings.com/ir/library/annual_report2023/j-lfg/)
専門領域を持っているMIベンダーを厳選しました。
自社の研究対象に近しい領域を専門としているMIベンダーの方が、
コミュニケーションにズレがなく、知見や実績も豊富な可能性があります。

化学・素材分野で数多くの開発を成功に導いた実績があります。
日立グループ全体の強みを活かして材料開発を総合的に支援できることから、早期の市場参入を可能にします。

富士通では、創薬に特化したプラットフォームを用意。特許読解、法規制物質チェックにも一貫して対応可能。
特定の材料開発プロセスではなく、創薬研究プロセス全体のDXが叶う点も魅力です。

新しいエネルギー材料の特性を正確に予測する「Mat3ra」(旧Exabyte.io)プラットフォームを提供。
新しいバッテリー材料や軽量合金の開発をスピーディーに進められることが可能です。