フィックスターズと大阪大学の量子情報・量子生命研究センターは、量子化学用量子回路シミュレータ「chemqulacs-gpu」に反復型量子位相推定法(IQPE)を実装し、1,024台のNVIDIA H100 GPUを用いた計算を実証しました。
量子アルゴリズムの開発・検証を通じて、将来の創薬や新材料開発への応用を見据えた計算技術を示しています。
マテリアルズインフォマティクス(MI)の研究開発では、材料データの分析に加えて、量子化学計算やシミュレーションが活用されることがあります。今回の取り組みは、その計算技術に関わる研究成果です。
この研究の中心は、材料・分子に関わる量子化学計算を実行するためのシミュレーション技術の開発と計算実証です。
フィックスターズと大阪大学は、量子回路シミュレータ「chemqulacs-gpu」にIQPEを実装し、複数のGPUを使って量子化学に関する計算を実行しました。計算には、産業技術総合研究所のABCI-QシステムにあるNVIDIA H100 GPUが使用されています。
量子化学計算の手法とシミュレータを組み合わせることで、量子アルゴリズムを検証するための計算環境を構築しました。材料や分子を対象とした計算技術を、マテリアルズインフォマティクス(MI)の研究開発へつなげる取り組みです。
参照元:MONOist(https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2604/02/news009.html)
量子回路シミュレータは、量子コンピュータで実行する回路を、古典コンピュータ上で模擬するソフトウェアです。量子コンピュータ実機を使わずに、量子アルゴリズムの計算方法や動作を検証できます。
IQPEは、量子位相推定法の一種です。量子化学計算に関係するアルゴリズムの検証に用いられており、今回の研究では、IQPEを「chemqulacs-gpu」に実装しました。
さらに、複数のGPUを連携させる並列計算技術を組み合わせています。これにより、量子化学用量子回路シミュレーションを複数のGPUで実行し、計算時の性能や通信上の課題に対応しました。
参照元:大阪大学 量子情報・量子生命研究センター(https://qiqb.osaka-u.ac.jp/newstopics/pr20260312)
今回の計算では、異なる目的の例として、H₂O分子とFe₂S₂分子が対象になりました。
H₂O分子では、量子ビット削減技術を適用した42スピン軌道系を計算しました。これは、分子を表現する問題の大きさを確認する計算です。
Fe₂S₂分子では、41量子ビットの量子回路を実行しました。こちらは、量子回路そのものの規模を確認する計算です。
この2つは同じ条件の計算ではありません。H₂O分子は問題サイズ、Fe₂S₂分子は回路サイズを確認する計算として、それぞれ別の観点から成果を示しています。
参照元:大阪大学公式発表(https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2026/20260312_2)
大阪大学QIQBは、GPUクラスタ上でIQPEの量子回路をシミュレーションする方法の研究開発を進めました。また、量子化学の計算層とシミュレーション層を接続するインターフェースの実装も担当しています。
フィックスターズは、GPU処理の性能計測や最適化技術を提供し、シミュレーションコードの最適化とABCI-Q向けの性能調整に取り組みました。
この取り組みでは、GPU間通信に関する課題に対応し、量子回路シミュレーションを効率化しました。大阪大学の量子化学・量子アルゴリズムに関する研究と、フィックスターズのGPU最適化技術を組み合わせた共同研究です。
参照元:フィックスターズ公式発表(https://news.fixstars.com/6279/)
マテリアルズインフォマティクス(MI)は、材料科学にデータ科学、機械学習、シミュレーション、実験データなどを組み合わせ、材料の特性予測や候補探索を支援する研究手法です。
マテリアルズインフォマティクス(MI)では、材料データの分析だけでなく、理論計算やシミュレーションを研究開発に組み合わせます。材料や分子をどのように計算し、得られた結果を研究開発へつなげるかも、重要な検討対象です。
今回の研究は、材料・分子を対象とした量子化学計算とシミュレーションの計算基盤に関わる研究成果です。
量子アルゴリズムの開発・検証を通じて、創薬や新材料開発への応用を見据えた計算技術を示しています。
量子化学計算を活用したシミュレーション技術は、将来の材料・分子探索における計算手法の選択肢を広げる技術として、マテリアルズインフォマティクス(MI)の研究開発に関わっていきます。
参照元:国立研究開発法人物質・材料研究機構(https://www.nims.go.jp/cbrm/about/ltvhvt000000004i.html)
この研究成果を自社のマテリアルズインフォマティクス(MI)の取り組みに活用する際は、研究テーマと計算環境の適合性を確認することが重要です。
量子化学計算を活用する場合は、対象となる分子や材料の性質、必要な計算精度、利用できるデータ、実験との接続方法を整理します。自社のマテリアルズインフォマティクス(MI)に取り入れる際は、計算技術だけでなく、研究開発の流れ全体との組み合わせを検討することが大切です。
フィックスターズと大阪大学は、量子化学用量子回路シミュレータ「chemqulacs-gpu」にIQPEを実装し、1,024台のNVIDIA H100 GPUを用いた計算を実証しました。
H₂O分子の42スピン軌道系と、Fe₂S₂分子の41量子ビット回路を計算し、量子化学分野における量子回路シミュレーションの計算方法と性能を検証しています。
今回の研究は、量子化学計算とシミュレーションを使って、材料・分子を対象とする量子アルゴリズムの検証を進めた取り組みです。マテリアルズインフォマティクス(MI)の研究開発における、計算技術の活用例として位置づけられます。
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